とうちゃんからお前たちへ

かけがえなきかみさんとチビたちに捧ぐ

オイラ落ちこぼれ

オレは中学の頃から

唄々いを目指し

22歳の時に関西を出て東京へ向かった

 

一ヶ月ほどでいい仕事にも巡り会えたが

有頂天になっていたオレは

酷く喉を痛めてしまい

最初の一年程は

まともに声を出して話すこともできなくなる

ハンデを背負ってしまった

 

医者に行って

治療してもらうほどの金がなかったオレは

そのまま自然回復を待ったが

ある程度声が出せるようになるまでに数年を費やし

唄々いを目指すには少し年齢を重ねすぎていた

 

何のために生きてきたのかさえ見えず

こんなゴミクズみたいな人生なら

早いとこお迎えに来てくれよと

家と職場を往復するだけの毎日に

嫌気がさしていた

 

アルコールも煙もダメなオレは

焼け酒をかっ喰らうこともできず

タバコを吹かしながら

鬱憤を晴らせるような

愚痴をこぼせる場所さえなかった

 

長い夜をやり過ごすために

ゲームに金を費やし

ますます何のための人生なのか

見えなくなっていった